十月のお念仏の会 第 358回

先月は幸福度世界ナンバーワンの国ブータンとそれに関する”足るを知る”と言う格言についてお話ししましたが、今月は日本の”藁しべ長者”の話とブータンの同じような話を比較してみたいと思います。 

日本:藁しべ長者 有る男が貧乏を脱しようと観音様をお参りしたところ“始めに触った物を大切にしなさい”とのお告げがあった。お堂を出た途端に石につまずいて転び、偶然一本の藁に手が触れた。男はこの藁を大切に持って旅に出た。すると一匹のアブが顔の周りをつきまとってきた。煩わしいのでこのアブを捕まえ、藁しべの先に結びつけた。次に傍らで大泣きしている子どもがこれを欲しがったため、母親がみかんと交換してくれと懇願してきた。男は交換に応じた。さらに行くと、喉の渇きに苦しんでいる商人と出会った。みかんを欲しがったので、上等な反物と交換した。今度は侍と出会った。愛馬が倒れてしまったが、急いでいるため、家来に馬の始末を命じて先を急ぐ。男は馬をかわいそうに思い、反物との交換を申し出る。家来に反物を渡した後、馬に水を飲ませたところ、元気を取り戻した。男は旅を続けた。大きな屋敷の前を通りかかったとき、ちょうど旅に出ようとしていた屋敷の主人が、男に留守を頼み、代わりに馬を駆りたいと申し出る。三年経っても帰らなければ屋敷を譲ると言って、馬に乗って出発した。三年経っても帰らなかったので、男は屋敷の主人となった。

ブータン:有る男が大きなトルコ石を掘り当てた。男は町まで交換に出掛けたところ、牛を引いている人と会い、牛とトルコ石を交換した。この牛が馬に、馬が羊に、羊が鶏に変わった。そして最後にその鶏は、道で歌っている人の歌声に換わった。その後、男の周りには歌にひかれて大勢の人が集まり、一生幸せに暮らしたという話。

この二つの話は、人はどのような生活を望むのか、どのようになりたいのか、どのようになったら幸せなのか、そんな問から生まれた話ではないでしょうか。

 何か考えさせられるところがありますね。