九月のお念仏の会 第 357回

六月開催以来の久しぶりのお念仏の会です。                   

今回のテーマは“足るを知る”です。

以前ブータンという国の話をしたことがあります。それは10年ほど前のことです。当時ブータンは幸福度世界ナンバーワンと言われておりました。最近同じような調査が行われました。それによると、ブータンの順位は九十七位に落ちてしまいました。その理由は、十年前にはなかったスマートフォーンが普及し、他の国のことがよく分かるようになったからです。貧しい国であるブータンの人たちは、よその国の人が自分たちよりも良い生活をしていることが分かってしまいました。即ち、よその国の人の生活と自分を比較するようになったのです。日本でも同じような調査が都道府県別に行われました。富山県、石川県、福井県が上位三県でした。真宗王国と言われる北陸三県でした。佛教の教えが影響しているのではないかと考えてみました。それは“足るを知る”という言葉だと思います。この意味を辞書で調べてみると、

1,数料が十分である 不足がない

2,満足である

3,分に相応する

4,価値がある

とあります。身分相応に満足することを知るということでしょう。もう少し掘り下げて考えてみると、次の様に考えられると思います。無い物を欲しがるのではなく、自分の持って生まれた天分や才能を十分に生かして生活をしなさいと。即ち、「無いもの」「不足しているもの」に注目するのではなく、「足りているもの」「すでにあるもの」に注目するのです。足りているものに注目すれば、そこには感謝の心が生まれてくるのではないでしょうか。

因みに最近の幸福度の順位は、一位はデンマーク、日本は五十一位でした。