六月のお念仏の会  第316回

今日は、前々月にお話しした前薬師寺管長故高田好胤師のお弟子さんであり、当時執事長として好胤師の片腕として活躍された安田えい胤師の話を致します.師は二十才の時にアメリカ旅行をしました.そのとき宗教的な情熱から肉や魚を食べない精進生活を志しました.これを一生続けると思えば窮屈な事なので、今日一日、目の前の一食だけでもと考え、機内食から始めたそうです.そしてこの一食この一食と続けているうちに七年が過ぎたそうです.もし食べ盛りの若い時に、これから七年間と思えば苦行に感じたかもしれません.師はこの旅行の経験から、”唯今”という瞬間の大切さを知ったそうです。過去を振り返り、未来に夢を馳せる事も必要だと思います.
人間は、時間的には過去と未来の間、空間的には東西南北のまっただ中にいる.即ち今の瞬間瞬間を大事にしつつ、与えられた役に専念するという事です.
古歌に、『極楽は 西にもあれば東にも 来た(北)道探せ 皆身(南)にぞある』