九月のお念仏の会  第307回

今月は”二河白道”の譬喩についてお話しします.
これは善導大師がお書きになった『観経疏』散善義の回向発願心の中に書かれているもので、念仏生活者がその信仰を深めてゆく過程を述べたものです.
西に向かっている旅人の前に突然左右に火と水の河が現れた.その中程に4、5寸の細い白道が続いていた.その白道を水の河の荒波が洗い、火の河の炎が焼き焦がしているのです.後ろからは群賊悪獣が迫ってくる.絶体絶命のピンチです.旅人はどうせ死ぬのならわずかでも可能性のある西方に向かってまっすぐに進もうと決めたのです.すると西の岸から”何も恐れず一心にこちらをめざして進みなさい”と声がかかりました.それを聞いて振り返る事なく前進し、無事対岸に着く事が出来ました.
火と水の河は人間が持っている煩悩を表し、その煩悩を振り払った清浄なる心が白道に表されているのです.