一月のお念仏の会   第322回

新年明けましておめでとうございます
平成29年がスタートいたしました。毎年年頭にはいろいろな思いを持って臨まれると思いますが、皆様はいかがでしょうか。
今日はお仏壇についてお話しいたします。
あるお寺での法要の後のお清めの席でのことです。清宴が始まったばかりなのに、施主の弟が『私の家は遠いいし、仕事も忙しいので先に失礼するわ』と。これに対して施主である兄が『何を言うのだ、親戚や友人がそれこそお忙しい中を来てくださっているのにそれは全く無礼だろう』と。また弟が『家を継いだのは兄貴だし、俺は家を出た人間だから関係ないだろう』と。お清めの席でとうとう喧嘩が始まってしまいました。いよいよ和尚さんの出番です。『これこれ二人ともいい加減にしなさい。供養の席で兄弟喧嘩はいけません』と。次に和尚さんは弟さんに聞きました。『あなたはお父さんの遺産はいただきましたか』弟は『兄弟平等に相続しました』和尚さんは『それはおかしいですね。遺産は平等に相続したけれど、お父さんやご先祖の供養はお兄さん任せ。家を出た人間は何もする必要はないと先ほど言いましたが、家を出れば両親やご先祖と縁が切れてしまうのですか。なくなってしまうのですか。相続の話は別にしても、あなたも他のご兄弟も一緒に供養すべきです』と。和尚さんは更に『あなたのお宅には仏壇はありますか』と尋ねました。『いいえ、代々続く仏壇は兄が守っていますから』と。
家を出たからといって、両親や先祖と縁が切れてしまうわけではありません。どこにいようとも両親は両親、先祖は先祖、なくなることはありません。ですから、家を出た人間は新たに仏壇を迎え、両親や先祖を供養する必要があるのです。そして毎日仏壇に向かって手を合わせ、ご先祖に対して心から感謝の気持ちを表すべきなのです。子供さんも一緒に手を合わせることによって、感謝する気持ち、心からあらゆるものに対して”おかげさまの感謝のきもち”を持つのです。人間として最も大切な感謝する気持ちが子供さんの心の中に芽生え育っていくはずです。