三月のお念仏の会   第324回

大阪に「カンデンエルハート」という会社があります。関西電力大阪府、市がほぼ半分づつ出資して作った会社です。ここには3分の2の身体障害者知的障害者が働いています。仕事は適材適所です。例えば、騒音が大変気になる印刷の仕事は耳に障害のある人。下半身の不自由な人は車椅子でパソコンに向かい、デザインだとか事務のしごとをする。商品を包装するような単純な仕事は知的障害者がする。これらは優しさ、思いやりです。
私は今たまたま健常者であるけれど、いつ障害者になるかわからないのです。事故にあったり、病気にかかったり、あるいは加齢によってもなりうるのです。他人事ではない、自分の未来の姿かもしれません。だからこそ障害者の視点に立って全てを見なければならないのです。これもまた優しさ、思いやりです。
障害者に対して、”気の毒だな、可哀想だな”といった特別な目で見たり、憐れみをかけてはいけない。これも優しさ、思いやりです。
とは言っても他人の支えがなければ生きてゆくことはできません。それは健常者でも同じことです。自分一人だけの力で生きることは不可能です。
「人間は強くなければ生きてゆけない。又優しくなければ生きる資格がない。」お念仏をお唱えすることによって人間が本来持ち合わせている優しさ、思いやりを呼び起こし、人間らしい生活を送りたいものです。