十月のお念仏の会   第330回

私の都合により十月のお念仏の会は第二土曜日になりました。
今日は『笠地蔵』の話です。この話はご存知の方もいらっしゃるかと思います。雪深い山里に、おじいさんとおばあさんが住んでいました。二人は笠を作って生活をしていましたが、この年は不景気で、正月のお餅を買うお金もありませんでした。そこでおじいさんは町まで笠を売りに出かけました。しかし笠は一つも売れませんでした。仕方なくおじいさんは家に帰ることにしました。やがて激しい吹雪になってきました。行きに見かけた六体のお地蔵様は、雪で真っ白になっていました。”これは大変じゃ”と、おじいさんは売り物の笠をお地蔵様の頭にかけてあげました。家に帰ると、おばあさんが玄関で待っていました。『笠は一つも売れんかった。すまんのう』『おじいさんが無事に帰ってきただけでよかったですよ』
その晩おじいさんはお婆さんにお地蔵様の話をしました。おばあさんは、『いいことをしたじゃありませんか。お地蔵様たちも喜んでおられることでしょう。』と、一緒に喜びました。
その晩二人が寝ていると『ズズーン、ズズーン』と大きな物音がしました。二人が恐る恐る玄関の戸を開けてみると、米俵、お餅、野菜、魚、小判まで置いてありました。遠くに笠をかぶったお地蔵様の姿が見えました。
釈尊は、『人が良いことをした時にそれを一緒に喜んだり、褒めてあげたりすることは、良いことをしたのと同じくらい功徳があるのです』と、おっしゃっています。正しい生活にいそしみ、阿弥陀様に素晴らしいお迎えをいただくことは、まさに最高の就活だと思います。