十二月のお念仏の会   332回

消費社会の現代では『もったいない』という言葉はあまり重くは考えられていないようです。しかし、お釈迦様は『もったいない』という事を次のように説かれています。”世の中にはひとつとして『自分のもの』というものはない。すべてはみな、ただ大きなはたらきによって自分にきたものであり、しばらく預かっているだけでのことである。だからひとつたりとも粗末にしてはならない”と。
阿難尊者が、五百着の衣を喜捨されました。
「あなたは五百着の衣を一度に貰い受けてどうしますか?」
「多くのお坊さんは破れた衣を着ているので、彼らにこの衣を分けてあげます。」
「それでは破れた衣はどうしますか?」
「破れた衣で敷布を作ります。」
「古い敷布は?」
「枕の袋に」
「古い枕の袋は?」
「床の敷物に使います」
「古い敷物は?」
「足拭きを作ります」
「古い足拭きはどうしますか?」
「雑巾にします」
「古い雑巾は?」
「粉々にして、泥を混ぜ合わせ、家を尽きる時の壁の中に入れます」
今の社会に於いてはとても考えられない話ですが、ただ、『すべてのものは預かりもの』という考え方を大いに尊重し、物を大切にする習慣を身につけたいものです。