五月のお念仏の会   第337回

今回はぼたん祭りの中でのお念仏の会でした。大変大勢の方が参加くださいました。ほとんどの方が初参加ということでしたので、以前にお話しした中から、私が最も好きな話の中の一つを『お念仏のすすめ』としてお話ししました。
お念仏のすすめ
 ある人が、これまでの自分の一生を振り返る夢を見ました。砂浜に、二組の足跡が並んで続いていました。この人は、仕事も私生活も順調で、お墓まいりも良くし、菩提寺の行事にも必ず参加する大変熱心な信者さんでした。常に仏様と生活を共にしている厚い信仰を持った人でした。だからこの二組の足跡が自分と仏様のものだとすぐにわかりました。しかし、ある時からこの人は仕事がうまくいかなくなり、さらに家庭内もぎくしゃくしはじめました。そしてあれだけ信仰熱心だったのに、お寺にも全く行かなくなってしまいました。ちょうどこの頃です。二組あった足跡が一組になってしまったのは。
 この話を聞いた時、誰もが、この一組になってしまった足跡は、絶望に打ちひしがれて一人ぼっちで歩くその人自身の足跡だと思ったのではないでしょうか。ところがそうではなかったのです。話は次のようの続いています。阿弥陀様は”日頃から南無阿弥陀仏と私の名を唱えている信仰心の篤いお前のそばを離れたことはない。お前が一番苦しんでいた時、砂の上に一組の足跡しかなかったのは、絶望で歩けなくなったお前を私が背負って歩いていたからなのだよ”とおっしゃいました。
その人はハッと気付きました。あの一組になった足跡は自分のものではなく、阿弥陀様の足跡だったことに。