十一月のお念仏の会   第342回

秋が深まってまいりました。あちらこちらから紅葉の便りが届いています。紅葉というと、法然上人初学の地である菩提寺の大銀杏が頭に浮かんでまいります。叔父観覚に学ぶため同寺に向かう途中、銀杏の枝を杖代わりにしました。着いた時に、この枝を庭に植えたところ、芽が吹いてきたということです。今の時期、この大木の周りは金色のジュータンが敷き詰められたようになっているのではないでしょうか。紅葉の秋は歌人たちに愛される季節です。法然上人も秋を詠ったお歌残されてます。
 阿弥陀仏に 染むる心の 色に出でば  秋の梢の 類ならまし
このお歌は、地道に毎日お念仏を唱えることによって、信心が徐々に深まっていく様子を、紅葉に例えて詠まれたものと言われています。春に芽吹いた青葉は暑い夏を乗り越え、様々な苦難を乗り越えて、秋にやっと紅葉するのです。何事も一朝一夕に成るものではないのです。