十月のお念仏の会

 今月からはしばらくの間、浄土宗の教えを分かり易くお話しします.臨終に、自分の人生を振り返ってみて、“良い人生だったなあ、自分は幸せだったなあ”と思える最期を迎えたいものです.知恵第一と呼ばれていた法然上人は、全ての人間がこのような最期を迎えられるようにと考え修行に励みました.そして全ての人が自ら凡人だという事をさとり、阿弥陀様のお救いにおすがりしなければ、この願いは叶わない事を覚ったのです.即ち聖道門(難行道)を捨て、浄土門(易行道)を選んだのです.あたかも、冬のエベレストを単独登頂するより、麓からヘリコプターで頂上迄運んでもらう方が楽である上、誰もが容易く出来るのです.ほんのわずかな人しか成し遂げられないものより、殆どの人が容易く出来るものの方が勝れているのです.聖道門は劣っているのです.お念仏以外にもいろいろな善行があります.しかし念仏以外の行では殆ど極楽浄土に往生出来ないので、お念仏を正行というのに対してこれを雑行といいます.お念仏は極楽往生間違いないので、正中の正、正定業ともいいます。正定業を助けるものを助業といいます.お経を読んだり、勉強したり、お参りしたりというのがこれにあたります.